糖尿病、高血圧などの慢性疾患があるとしたら?
糖尿病、甲状腺疾患、高血圧及び喘息などの慢性疾患がある場合、長期間薬を服用するため妊娠に対する恐怖や悩みが多いと思われます。 慢性疾患を患っている場合、妊娠のためにどのような準備が必要なのか調べてみます。
慢性疾患者が服用する薬、妊娠後に薬の服用を継続してもよいのか
妊娠中の薬の服用は、お腹の胎児に影響を与える可能性があるため、慢性疾患を抱えている場合、多くが妊娠を理由に薬の服用を恣意的に中断する場合もあります。しかし、薬の服用をやめてしまうのはかえって母親・胎児どちらにも危険となりうるのです。したがって慢性疾患のコントロールに必要な治療薬は基本的に継続してもらいます。妊娠中でも医師とよく相談し、問題ないような薬剤を選択しておくのもよいでしょう。
糖尿、高血圧を患っている場合は
妊娠初期(妊娠4カ月まで)の母体の高血糖は、胎児に心形態異常の発生頻度を増加させ、妊娠後期の高血糖は、巨大児出産や肩甲難産(けんこうなんざん・出産の際、赤ちゃんの頭は出ているものの肩が引っかかってしまい出てこられない状態)の危険性を高めます。そのため、血糖のコントロールは非常に重要で、妊娠前であればHbA1c値(糖尿病の診断基準)を基準値以下までに抑えてから妊娠するのが望ましいです。
既存に飲んでいた薬を変えなければならない場合もあります。 糖尿病に用いられる内服薬は、胎盤を通過して胎児に影響を与える可能性があるため、基本的に胎盤を通過しない注射薬インスリンを使用し血糖値を調節しなければなりません。
また、妊娠前から高血圧の薬を服用している場合は、胎児に安全な薬に変える必要があります。 高血圧の治療薬のアンギオテンシン変換酵素(ACE)またはβ受容体拮抗薬(ブロッカー)は妊娠中の羊水減少症を誘発し、胎児を死亡に至らせるほど致命的です。そのため、これらを服用されている妊婦さんは薬の変更が必要です。
自己免疫疾患を患っている場合は
関節リウマチやループス腎炎(全身性エリテマトーデス)を患う女性が炎症反応が激しいときに妊娠すると流産のリスクが高いです。そのため、妊娠前に炎症の数値を下げた後、胎児にリスクの少ない薬を服用する必要があります。妊娠という免疫的に特殊な状況下で、自己免疫疾患は増悪あるいはと様々な変化を示すため、厳重な管理が必要になります。
脳疾患と精神疾患を患っている場合は
てんかんの治療に用いられる薬剤のために、生まれてくる子供に障害が起きたり、子供の発育に遅れが生じる可能性が少なからず存在します。 妊娠初期の薬の量を調整したり、胎児に障害の現れる割合をできる限り減らすことのできる薬剤の使用が可能になってきたので、必ず主治医と相談してください。また抗てんかん薬には、体内の葉酸を減少させるものがあるため、抗てんかん薬のガイドラインでも、一定量の葉酸を処方するよう奨めています。そのため、妊娠中には葉酸の血中濃度を測定したり、必要に応じて葉酸を処方することもあります。実際にはてんかんの治療薬を服用しながら健康なお子さんを出産している方はたくさんいらっしゃいます。うつ病やなどの精神疾患を患っていても妊娠期間中は主治医の指示に従って薬を服用し、規則正しい生活をすれば十分健康な子供を出産できます。
甲状腺疾患を患っている場合は
甲状腺ホルモンが多い状態(甲状腺機能亢進症)が持続すると、健常な妊婦さんよりも流産や早産の危険性が高くなるといわれています。また、甲状腺機能低下症があると、流産の危険性が高くなるだけでなく胎児の神経発達に影響を与える可能性があるといわれています。ですから甲状腺ホルモンの数値が安定したときに妊娠するのが一番いいです。甲状腺機能亢進症は妊娠初期はプロピルチオウラシルを第1選択薬とし、妊娠中期以降であれば副作用や効果の観点からチアマゾールの使用も考慮します。
慢性疾患を抱えている場合、安全に出産するために医師とよく相談し、計画妊娠を考慮することが大切ですし、いつ妊娠しても問題ないような薬剤を選択しておくのもよいでしょう。