月経不順や排卵に影響する多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、月経周期や排卵、妊娠、長期的な健康に影響することがある、よくみられるホルモン・代謝に関連する疾患です。症状や程度には大きな個人差があります。PCOSってどんな病気?PCOSは、単に「卵巣にたくさんの嚢胞がある病気」ではありません。排卵が不規則または起こらないこと、アンドロゲンの作用が強いこと、卵巣に特徴的な所見がみられることなどが関連する複合的な疾患です。月経不順、月経回数の減少、排卵日の予測が難しい、にきび、多毛、妊娠しにくいなどの症状がみられることがあります。また、インスリン抵抗性、2型糖尿病、脂質異常などの代謝リスクとも関連しています。どうやって診断する?成人では、ほかの原因を除外したうえで、一般的に次の3項目のうち2項目以上を満たすかどうかを評価します。• 排卵が不規則または起こらない• 臨床的または血液検査でアンドロゲン過剰が認められる• 超音波で多嚢胞性卵巣形態が確認される、または適切な成人では診断指針に沿ってAMHを用いる月経不順とアンドロゲン過剰の両方が明らかな場合は、診断のために超音波やAMH検査が必要ないこともあります。また、超音波で多嚢胞性卵巣のように見えるだけでPCOSと診断されるわけではありません。なぜ月経不順になるの?PCOSでは排卵の回数が少なくなったり、排卵しない周期が生じたりするため、月経周期が長くなったり不規則になったりすることがあります。長期間排卵が起こらない状態が続くと、子宮内膜増殖症や子宮内膜がんのリスクが高くなることが知られています。ただし実際に子宮内膜がんになる確率は低く、PCOSという理由だけで定期的ながん検診を行うことは推奨されていません。月経が長期間ない場合や普段と異なる出血がある場合は医療機関に相談しましょう。アンドロゲン過剰とは?顔や体の毛が増える、にきび、頭髪が薄くなるなどの症状がみられることがあります。必要に応じて血液検査でアンドロゲンを評価します。症状の現れ方には人種や個人による違いがあります。インスリン抵抗性との関係は?PCOSではインスリン抵抗性がみられることがあり、耐糖能異常や2型糖尿病などの代謝リスクが高くなります。ただしPCOSだから必ず糖尿病になるわけではありません。10代のPCOSは診断方法が違う?はい。思春期には月経不順やにきびなどが正常な発達の過程でもみられるため、慎重な判断が必要です。現在の国際的な指針では、初経からの期間を考慮した持続的な月経不順とアンドロゲン過剰の両方を確認し、ほかの原因を除外して診断します。10代では超音波所見やAMHをPCOSの診断には使用しません。PCOSだと妊娠できない?いいえ。排卵が不規則なため妊娠まで時間がかかることはありますが、自然に妊娠する人も多く、必要に応じて治療を受けることもできます。