40w Laterガイド

不妊について知ろう

体外受精で起こることがある卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは?

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、体外受精(IVF)などで行う卵巣刺激によって起こることがある合併症です。多くは軽症ですが、まれに重症化して治療が必要になることがあります。

なぜOHSSが起こるの?

体外受精では複数の卵胞を育てるために卵巣刺激を行います。その際、予想以上に卵巣が強く反応し、多数の卵胞が発育することがあります。

OHSSではVEGF(血管内皮増殖因子)などの作用によって血管の透過性が高まり、血管内の水分が外へ移動しやすくなります。その結果、腹腔内に水分がたまる腹水などが生じることがあります。

重症になると胸水や呼吸困難、腎機能への影響、血栓症などの重大な合併症につながることもあります。

どんな人に起こりやすい?

卵巣刺激に強く反応する人ほどリスクが高くなります。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、AMHや胞状卵胞数が多い場合、多数の卵胞が発育した場合、多くの卵子が採取された場合、過去にOHSSを経験した場合などはリスクが高くなることがあります。

治療中は卵巣の反応を確認しながら、必要に応じて治療方法を調整します。

いつ起こる?

採卵前に最終的な卵子成熟を促す薬を使用した後、数日以内に症状が現れることがあります。これを早発型OHSSと呼ぶことがあります。

妊娠が成立すると、妊娠によって増加するhCGの影響で遅れてOHSSが発症したり、症状が長引いたりすることもあります。

注意したい症状は?

腹部膨満感、腹痛、吐き気・嘔吐、急激な体重増加や腹囲の増加、尿量の減少、息苦しさなどがみられることがあります。

症状が悪化している場合は治療中の医療機関に連絡しましょう。強い腹痛や著しい呼吸困難、ほとんど尿が出ない、失神、胸痛などがある場合は速やかな医療評価が必要です。

OHSSは予防できる?

完全に防げるとは限りませんが、現在の体外受精ではリスクに応じてさまざまな予防策を取ることができます。

卵巣刺激薬の調整、GnRHアンタゴニスト法、適切な場合のGnRHアゴニストによる最終卵子成熟、カベルゴリンの使用、胚をすべて凍結して新鮮胚移植を行わない方法などが検討されます。

治療はどうする?

治療方法は重症度によって異なります。軽症では医療機関の指示のもと自宅で経過を観察できることもあります。症状が強い場合には血液検査や超音波検査、点滴などが必要になり、重症の場合は入院治療を行うことがあります。

腹水が多く強い症状がある場合には排液処置を行うことがあり、血栓のリスクが高い場合には予防や治療が必要になることもあります。

自己判断でアスピリンや抗凝固薬などを使用したり、決められた量の水分を無理に摂取したりせず、治療中の医療機関の指示に従いましょう。